マイルス・デイヴィスの「死刑台のエレベーター」は、1957年に製作された、ルイ・マル監督によるヌーベルバーグの傑作『死刑台のエレベーター』のサントラ。映画の内容といえば、主人公のモーリス・ロネとジャンヌ・モローが不倫関係の末、殺人を犯すという、いわゆるサスペンス映画。
その音楽を担当したのはオリジナル・クインテットを解散した直後のマイルス・デイヴィスです。
モノラル録音であるが、欧州のメンバーと組んで、ハードバップを堪能できます。ハードバップてどんなん?てことになりますが、モダン・ジャズのひとつで、「黒人のブルースフィーリングを熱く押し出したもの」と様々な形容がなされている。サントラ盤ゆえ、曲が短く尻きりとんぼなところは、ありますが、とにかくカッコよい。酒は勿論のこと、
マイルスのトランペットは、夜、大人、クールな旋律を奏でて、どこかハードボイルド小説でもよみたくなる。
てことで、これを機会に、ジャズをきちんと理解しようと…。モダン・ジャズの年代は、1940年から1960年代のジャズの総称マイルス・デイビスが牽引してきて、電気ジャズは含まない。この年代内で、ビバップ、クール.ジャズ、ウェスココースト・ジャズ、ハード・バップ、モード・ジャズというサブジャンルになるらしい。この「死刑台のエレベーター」は、モダン・ジャズのハード・バップになる。
57年にマイルスは単身渡仏、現地のバルネ・ウィラン、ルネ・ユルトルジュ、ピエール・ミシュロ、ケニー・クラークを含むクインテットでツアーを行い、それが終了後、同じメンバーで映画音楽に取り組んだ。事前に映画に目を通していたマイルスはあらかじめいくつかのメロディの断片を用意、本番ではラッシュ・フィルムを観ながら即興で音楽を完成させていった。そのため映画のサウンドトラックとはいえ、演奏はジャズそのもの。サスペンス映画ということで、それにあわせた緊張感あふれる演奏が特徴。
ハード・バップ (Hard bop) は、モダン・ジャズの一つ。アメリカ東海岸で、1950年代半ばをピークに1960年代まで続いたスタイル。
「ビバップの発展過程での揺り戻し」「ビバップの伝統の上に、ウエストコースト・ジャズの混在状態を経て、様々な音楽を取り入れて成立」「黒人のブルースフィーリングを熱く押し出したもの」と様々な形容がなされている。
1950年代半ばに衰退をはじめたビバップであったが、1955年のチャーリー・パーカーの死と共に、その影響下にあった若手演奏家たちが一気に活躍し、表面化したのがきっかけといわれている。ビバップのように、コード進行に乗せた、あるいは、コード分解によるアドリブといった基本は一緒だが、それよりも、特にソロのアドリブ演奏面で、ホットでハードドライビングしながらも、メロディアスに洗練されたスタイルといわれている。また、よりフレーズが重要視されるため、メロディーとして成立しない音を音階からはずさざるをえないため、同じコードを使用しても、使えない音が出てくることが多く、ビバップよりも、融通性のないメロディーやフレーズとなりがちであった。
また、ハード・バップはアフロ・キューバン/ラテン音楽の要素、とりわけルンバやマンボ等を取り入れて、ラテン・ジャズへと発展していく。特にハード・バップで演奏されるものはアフロ・キューバン・ジャズといわれることが多い。
死刑台のエレベーター/ マイルス・デイヴィス
不倫・殺人を含むサスペンス映画のサントラだから、全編シリアス。こちらは、輸入版だと、フランス語表記で、まったくわからないので、日本語版の曲名を記載しておきました。
収録曲
- テーマ
- カララの殺人
- ドライヴウェイのスリル
- エレベーターの中のジュリアン
- シャンゼリゼを歩むフロランス
- モーテルのディナー
- ジュリアンの脱出
- 夜警の見回り
- プティバックの酒場にて
- モーテルの写真屋
- シャンゼリゼの夜 (take 1)
- シャンゼリゼの夜 (take 2)
- シャンゼリゼの夜 (take 3) (テーマ)
- シャンゼリゼの夜 (take 4) (シャンゼリゼを歩むフロランス)
- 暗殺 (take 1) (夜警の見回り)
- 暗殺 (take 2) (エレベーターの中のジュリアン)
- 暗殺 (take 3) (カララの殺人)
- モーテル (モーテルのディナー)
- ファイナル (take 1)
- ファイナル (take 2)
- ファイナル (take 3) (モーテルの写真屋)
- エレベーター (ジュリアンの脱出)
- 居酒屋 (take 1)
- 居酒屋 (take 2) (プティバックの酒場にて)
- ドライヴウェイ (take 1)
- ドライヴウェイ (take 2) (ドライヴウェイのスリル)